このページの目的
知ってました?海外旅行保険は、選び方によって、保険料が2倍ほど違ってくるってことを。正直、私も、ちゃんと調査するまでは、ここまで価格に差があるとは思っていませんでした。
海外旅行保険の節約には、「バラ掛け」を避けて通ることはできません。(バラ掛けは、フリープランやオーダーメイドプランと呼ばれることもあります)一方、クレジットカード付帯保険も、ご存知の通り、海外旅行保険の節約に役立つものです。
このページでは、そんなお得な、バラ掛け海外旅行保険を比較します。重視するのは、「カード付帯保険と組み合わせで使いやすいかどうか」という部分です。比較表で徹底的に比較し、お得な保険を見つけたいと思います。
最近のバラ掛け保険事情
ここ最近のバラ掛け保険ですが、
●短期(3ヶ月まで)保険は、4社がバラ掛けを提供。
4社ともにインターネットだけで申し込むことが可能です。このページでは、この短期保険(3ヶ月間まで)の比較を詳細にしていきます。
●長期保険(3ヶ月以上)は、バラ掛けは、ほぼ全滅。
3ヶ月以上の海外旅行保険では、値上げとともに、安いバラ掛けが、ほぼ無くなってしまい、セット保険のほうが安い状況です。
ただし、唯一、長期のバラがけ保険で、昔からの値段が残っている保険があります。こちらの記事の「節約方法3」で詳しく紹介していますので、その記事をご覧ください。⇒1年の海外旅行保険の比較と節約方法3つ
まず結論。バラ掛け海外旅行保険ランキング
まず結論から書いておきます。
安心感1位 tabiho(ジェイアイ)
安さ1位 海外旅行保険off!(損保ジャパン)
3位 富士火災
4位 AIU
根拠となる詳細な比較表は下に掲載しています。簡単に解説すると、
ジェイアイのtabihoは、
・救援者費用の最高額が1億円と高い ⇒解説
・携行品が再取得価額 ⇒解説
・ただし50歳以上は保険料が高い
損保ジャパンの海外旅行保険オフ!は、
・保険内容に対して保険料が安い ⇒解説
・ただし救援者費用の最高額は2,000万円と低め
ということで、必要な保険金額によって、ジェイアイか損保ジャパンを使い分けると良いです。
有料保険が必要な理由。カード付帯保険じゃダメ?
2016年7月現在、海外旅行保険が無料付帯しているカードは100種類以上あります。そんな保険付帯カードが豊富な時代に、有料の保険をわざわざ購入する必要ってあるのでしょうか?
答えは、もちろん、イエスです。
簡単に言えば、カード付帯保険の補償だけで、足りる国もあれば、足りない国もある、ということです。
カード付帯保険は、カードを複数枚持っていると、死亡補償以外の項目で、補償額が上乗せされます。たとえば、治療費用補償が200万円のカードを2枚持っていたら、合計の400万円が最大補償額になります。
カードが複数あると死亡補償以外は加算される | |||||
---|---|---|---|---|---|
傷害死亡/後遺障害 | 傷害疾病治療費用 | 賠償責任 | 携行品 | 救援者費用 | |
カードA | 2000万 | 200万 | 2000万 | 20万 | 200万 |
カードB | 500万 | 200万 | 2000万 | 20万 | 100万 |
↓多い方 | ↓加算 | ↓加算 | ↓加算 | ↓加算 | |
合計 | 2000万 | 400万 | 4000万 | 40万 | 300万 |
なので、台湾、香港、韓国など、割と医療費の安いアジアで、かつ医療水準がある程度に達している国なら、カード付帯保険で十分な国も多いのです。(ただし、カードの選び方、使い方にはコツがありますが)
しかし、一方、医療費が高いニューヨークやハワイなどは、治療費用補償が最低1000万円は欲しいので、カード付帯保険だけでは不足です。また、先進国以外で、医療水準が低いため近隣先進国や日本へ医療搬送する確率が高い国も、有料海外旅行保険があったほうが安心です。医療搬送は、数百万円以上かかることも多いからです。
有料保険と、カード付帯保険とを併用すべき理由
では、反対に、有料保険に加入するなら、カード付帯保険は不要なのでしょうか?
いいえ、不要ではありません。有料保険に加入するとしても、カード付帯保険と併用するのが一番良いのです。
なぜなら、有料保険とカード付帯保険と一緒に持っていると、同じように補償額が上乗せされるからです。
2つが上乗せされるので、
A. 有料保険だけを買う
B. カード付帯保険+有料保険を買う
↑この2つを比較した場合、全く同じ補償内容だとすると、Bのほうが安く済みます。カード付帯保険のぶんだけ、有料保険を省くことができるからです。
もうすでに保険付帯カードを持っている人は、ちゃんと活用しましょう。まだ持っていない人は、年会費無料の保険付帯カードを作ることをおすすめします。年会費無料でも、わりと良い保険が付帯しているカードは、結構ありますので。
参考リンク
●クレジットカード海外旅行保険比較表(80種以上)+裏技2つ
●ゴールドカード海外旅行保険比較表
上乗せ有料保険に求めるもの
では、次に、カード付帯保険に上乗せするための有料保険は、どういう保険が良いのか、という問題に移りましょう。
上乗せのための有料保険ですから、カード付帯保険だけでは不足する部分に掛けるのが当然ですよね。
カード付帯保険だけでは不足する部分、つまり↓下記のように思ったときに、有料保険が必要になってきます。
1. 必要な部分だけ保険を掛けたい
2. 「治療費」の補償額を多くしたい
3. 「救援者費用」の補償額を多くしたい
4. 「携行品損害」の補償を手厚くしたい
5. 「疾病死亡」補償が欲しい
解決策も一緒に書くと、↓こうなります。
1. 必要な部分だけ保険を掛けたい ⇒バラ掛け保険を選べ(解説1)
2. 治療費補償額を多くしたい ⇒保険料の安さで選べ(解説2)
3. 救援者費用補償額を多くしたい ⇒最高額で選べ(解説3)
4. 携行品損害の補償を手厚くしたい ⇒再取得価額を選べ(解説4)
5. 「疾病死亡」補償が欲しい ⇒保険料の安さで比較(解説5)
以上のニーズ&解決策に沿って、比較表を作ってみました。↓コチラです。(見やすさのため、5の「疾病死亡」の項目だけ別表にしました。)
海外旅行保険(バラ掛け)比較表
オススメなのは、損保ジャパンの海外旅行保険off!と、ジェイアイのtabihoです。
↓2016年7月のジェイアイtabihoの値上げも反映済み。
保険名 (保険会社) |
バラ掛け可能 | 携行品が再取得価額 | 救援者費用の最高額 | 例:グアム14日間(49歳以下) | |
---|---|---|---|---|---|
救援者費用を最高にしたときの最安保険料 | 傷害/疾病治療費用のみの保険料 | ||||
安さなら1位 海外旅行保険off!(損保ジャパン日本興亜) |
○ | × | 2千万 | 3410円 ●傷害/疾病死亡1千万 ●治療費用5百万 ●救援者費用2千万 |
1千万円= 2,800円 2千万円= 2,900円 |
安心感で1位 tabiho(ジェイアイ) |
○ | ○ | 1億 *1 |
5330円 ●傷害/疾病死亡1千万 ●治療/救援費用 1億 |
1千万円= 3,890円*2 1億円= 4,450円*2 |
エイチ・エス損保 | × | ○ | 3千万 | 5410円 ●傷害/疾病死亡3千万 ●治療費用 無制限 ●救援者費用3千万 ●その他補償あり |
不明 |
富士火災 | ○ | × | 1千万 | 6140円 ●傷害/疾病死亡1千万 ●治療費用5百万 ●救援者費用1千万 |
5百万円= 4,500円 1千万円= 4,730円 |
AIU | ○ | × | 7百万 | 6630円 ●傷害/疾病死亡1千万 ●治療費用3百万 ●救援者費用7百万 |
5百万円= 4,710円 6百万円= 4,770円 |
eとらべる海外旅行保険(あいおいニッセイ同和損保) | × | × | 5千万 *1 |
6450円 ●傷害死亡15百万 ●疾病死亡1千万 ●治療救援費用 5千万 ●その他補償あり |
不明 |
au損保 | × | × | 5千万 *1 |
6583円 ●傷害/疾病死亡25百万 ●治療救援費用5千万 ●その他補償あり |
不明 |
エース損害保険 | × | × | 無制限 *1 |
8650円 ●傷害死亡1千万 ●疾病死亡5百万 ●治療救援費用 無制限 ●その他補償あり |
不明 |
東京海上日動 | × | × | 無制限 *1 |
10570円 ●傷害死亡2千万 ●疾病死亡1千万 ●治療救援費用 無制限 ●その他補償あり |
不明 |
*1 治療費用だけではなく救援者費用も合算の「治療・救援費用」の額。
*2 ジェイアイtabihoの傷害/疾病治療費用の保険料は、「緊急歯科治療」の保険料も含む。
※2016年7月1日調査(49歳以下、8月1日出発、観光目的、単身プランで比較)
※「傷害後遺障害」は、すべて傷害死亡と同額とし、省略しています。
50歳以上の方は、損保ジャパンoff!しか選べない
2016年7月からジェイアイtabihoの価格が変更され、50歳以上は、保険料が高くなりました。表に書いた5,330円は、50〜59歳だと、8,040円にもなります(60歳以上は、さらに高額になります)。残念ながら、ジェイアイは、49歳以下にターゲットを絞ったようです。
その点、損保ジャパンは、年齢による価格差は、ありませんので、50歳以上の方は、損保ジャパンoff!をオススメします。⇒損保ジャパン日本興亜 海外旅行保険off!公式サイト
比較表の解説
比較表だけでは、わかりづらい部分もあるかと思います。
下に、一つ一つ詳しく解説していきます。
1. 必要な部分だけ保険を掛けたい ⇒バラ掛け保険を選べ
2. 治療費補償額を多くしたい ⇒保険料の安さで選べ
3. 救援者費用補償額を多くしたい ⇒最高額で選べ
4. 携行品損害の補償を手厚くしたい ⇒再取得価額を選べ
5. 「疾病死亡」補償が欲しい ⇒保険料の安さで比較
1. 必要な部分だけ保険を掛けたい⇒バラ掛け保険を選べ
海外旅行保険は、基本は5つの補償でできています。
a. 死亡/後遺障害
b. 治療費用
c. 賠償責任
d. 携行品損害
e. 救援者費用
これ以外に、特約などで、いろいろ付いているものもありますが、それらはオマケです。節約を考えた場合には、基本的に不要と考えてOKです(余裕があれば掛けるのは問題ありません)。
さらに言えば、節約を考えると、上記のa~eの中も、不要なものを削っていくべきです。すでに無料のカード付帯保険に付いているものもあるでしょう。それで十分なレベルなら、有料保険で加入する必要はないですもんね。
a.死亡/後遺障害 | b.治療費用 | c.賠償責任 | d.携行品 | e.救援者費用 | |
---|---|---|---|---|---|
カードA | 2千万 | 2百万 | 2千万 | 20万 | 2百万 |
↑不足 | ↑不足 |
以上のことを考えると、自由に、必要なものだけを足すことができるバラ掛けの保険がおすすめ、という結論になります。
バラ掛けできる保険は、今は、下の4つの保険会社の保険だけです。
・ジェイアイのtabiho
・損保ジャパン日本興亜の海外旅行保険off!
・富士火災
・AIU
2. 「治療費」補償額を多くしたい⇒保険料の安さで選べ
海外旅行保険の項目の中で、一番重要なのは、「治療費用」の補償です。つまり病院での支払いをカバーしてくれる補償です。これが一番、利用する確率が高いです。そして、だからこそ「治療費用」は保険料も一番高く、保険料全体の半分以上を占めます。
ですので、この「治療費用」の補償額が多くて、それで値段が安い保険があれば、その保険は最高に良い保険と言えます。
この「治療費用」の比較ですが、実際に見てみると、↓こんな感じでした。
- 損保ジャパンoff!は、2800円
- ジェイアイのtabihoは、3890円(ただし緊急歯科治療を含んだ額)
- 富士火災は、4730円
- aiuは、補償額600万円でも4770円
なんと、保険料に約2倍も違いがあるんですね。(2016年7月の調査。グアム14日間の金額) ジェイアイtabihoと、損保ジャパンoff!が安いという結果となりました。
バラ掛けだと、一つ一つの補償項目の価格比較ができる、というのも、メリットの一つです。セットの保険だと、何にお金がかかっているか、よくわかりませんもんね。
3. 「救援者費用」補償額を多くしたい⇒最高額で選べ
海外旅行保険の項目の中で、一番使うのは「治療費用」です。でも、もう一つ「救援者費用」の額も重要です。
なぜなら、それは、世界各国での高額保険金支払い事例を見るとわかります。実は、高額支払い事例のほとんどが、飛行機での医療搬送がからんでいるのです。
この医療搬送をカバーするのが「救援者費用」。つまり、「救援者費用」の項目を高くしておかないと、医療搬送になったときに、破産してしまう可能性もあるのです。
例えば、重病になり、日本で治療を受けるために、飛行機に簡易ベッドを載せて、医師と一緒に帰ってくる、というようなのが医療搬送です。数百万円かかるのが普通です。
これが定期便の利用なら、まだマシです。事情があって、チャーター機の利用となると、なんと2000万円以上かかったりします。
救援者費用は、利用する確率は、そこまで高くないのですが、一度、使う事態になると、かなり高額です。ですので、この点で言うと、救援者費用の補償額を高くできる保険が良い保険、ということになります。
バラ掛け可能な保険では、意外と救援者費用の上限額が低いことがあるので、選ぶときには注意が必要です。
1位 ジェイアイtabiho 1億円 (治療・救援費用)
2位 損保ジャパンoff! 2000万円
3位 富士火災 1000万円
4位 AIU 700万円
この救援者費用の最高額では、ジェイアイtabihoの一人勝ち。高額医療費のケースを見ても、1億円以上かかったケースは無いので、1億円あればニューヨークやハワイなどの医療費が高いところでも安心です。
※金額だけで言うと、「賠償責任」も高額になる可能性がある項目ですが、賠償責任は、救援者費用ほどは確率が高くないですし、また保険料が格安(例. tabihoで1億円の補償を14日間で、保険料40円)なので、比較するときには、あまり重要ではない、と私は考えています。
4. 「携行品損害」の補償を手厚くしたい⇒再取得価額を選べ
「携行品損害」については、「1商品10万円まで」という限度があるため、普通の人は、高価なものを、そんなに何個も持ち歩かないので、そんなに補償を増やす必要はないでしょう。
ただ、一点だけ、有料保険の携行品損害に加入する価値がある部分があります。それが「再取得価額での評価」です。ちなみに、普通の携行品損害の補償は、「時価額での評価」です。
例えば、使い始めて1年のスマホが盗難に遭ったとしましょう。「再取得価額」と「時価額」で、もらえる保険金に違いが出ます。
●時価額の場合
「一年落ちのスマホの現在の価値は、このくらい」という計算で保険金が支払われる
●再取得価額の場合
「同じスマホを、今もう一度購入するには、この額が必要」という計算で保険金が支払われる
つまり、時価額よりも再取得価額のほうが多く保険金をもらる可能性が高いのです。時価額評価の場合は、もらった保険金で、同じiphoneを買うのは難しいでしょう。
この「再取得価額での評価」は、カード付帯保険で採用しているところは現在ありません。有料保険の中でも、ジェイアイとエイチ・エス損保だけが再取得価額です。
5. 「疾病死亡」補償が欲しい⇒保険料の安さで比較
有料保険が必要だと思う人のニーズとしては、カード付帯保険には付いていない「疾病死亡補償が欲しい」というのもありますよね。
では、死亡補償をつけるのに必要な保険料を比較してみましょう。
注意点としては、疾病死亡補償は単独で付けることができない、というのがあります。疾病死亡補償は必ず、傷害死亡補償&傷害後遺障害と一緒に付けないといけません。ですので、その3つのトータルで比較しないといけません。
補償額 | 保険料(円) | ||||
---|---|---|---|---|---|
aiu | 富士 火災 |
ジェイアイ tabiho |
損保ジャパン off! |
||
傷害死亡&後遺障害 | 1千万 | 610 | 530 | 530 | 260 |
2千万 | 1220 | 1060 | 1060 | 520 | |
3千万 | 1830 | 1590 | 1590 | 780 | |
疾病死亡 | 5百万 | 270 | ー | ー | 100 |
1千万 | 530 | 520 | 350 | 190 | |
2千万 | 1060 | 1040 | ー | 380 | |
3千万 | ー | 1560 | ー | 570 |
↑死亡補償では、損保ジャパンのoff!が圧倒的に安いですね。
※2016年7月のジェイアイtabiho値上げ後のデータ。
ただ、富士火災とAIUも、良い面が全く無いわけではありません。富士火災とAIUは、死亡補償のみで保険を掛けることが可能なのです。(tabihoとoff!では不可)
ですので、「疾病死亡補償だけ欲しい」という場合は、富士火災かAIUなら、死亡補償だけにして購入が可能です。(そういう買い方をする人は少ないとは思いますが)
まとめ
おすすめは、
●安さで選ぶなら、損保ジャパンのoff!
●充実した保険なら、ジェイアイのtabiho
●50歳以上なら、損保ジャパンのoff!
2016年6月までは、ジェイアイtabihoがダントツ良かったのですが、今回の7月の調査では、損保ジャパンoff!とジェイアイtabihoを目的によって使い分けるのが良い、という結果となりました。ただし、これはあくまで、調査を行った2016年7月時点の話です。
保険商品の内容が改定されれば、またランキングは変化します。今後も、調査は定期的に続けていきたいと思います。