結論「イギリスでは治療費用500〜600万円は必要」

先に結論を書いておきたいと思います。

のむてつ所長のむてつ所長

イギリスでは「疾病治療費用」「傷害治療費用」の補償額は、最低500〜600万円は欲しいところ。あと注意したいのは、医療費が高額になる医療搬送が必要となったとき(イギリス⇒日本は約250万円)。重病時に医療搬送を必要とするかどうかで、必要な「救援者費用」の額が変わります。(下で詳しく説明します)。

このページの目的

海外旅行保険は、本当に1年で20万円以上もする「保険金支無制限」のものが必要なのでしょうか?短期の保険なら、本当に、クレジットカード付帯の保険だけでは不足するのでしょうか?

このページでは、イギリスの医療費の価格を実際に見て、海外旅行保険をどれくらい掛けておく必要があるか、クレジットカード付帯保険で対応可能なのか、それとも不足するのか、などについて検証します。

※東京海上日動やAIU、JI(ジェイアイ)傷害火災、HS損保などの保険会社が公表しているデータから、できるだけ客観的に見ていきたいと思います。(記事下に、すべての出典リンクを掲載)

まず大前提として

海外旅行保険を考えるときに、まず大前提として2点、頭に入れておいてください。

海外旅行保険の額を考えるときの大前提2つ

  1. 一番使う確率が高いのは「治療費用」。この額をメインに考えるべき。
  2. 高額医療費の原因のほとんどが医療搬送。なので「救援者費用」の額も重要

クレジットカードの宣伝でよくある「最大補償額●千万円!」というのは、実は利用確率の低い死亡補償の額だったりします。最大補償額が大きくても、あまり意味がありません。保険額を決めるのに重要なのは、「治療費用」と「救援者費用」です。覚えておいてくださいね。

判断基準

治療費用に関して↓

イギリスで盲腸手術:約120万円

  • 日本の約2倍の医療費(日本の10割負担額と比較)
  • 集中治療室(ICU/CCU)の額: 30万円/日(*4*5)⇒20日間600万円
  • 病院の1日の部屋代: セミ個室9万円/日(私立、公立ともに)(*4*5)⇒20日間180万円

救援者費用に関して↓

医療搬送イメージ

  • 日本への医療搬送(定期便): 約200〜250万円(*4*5)
  • 日本への医療搬送(チャーター便): 約2130万円(*8)
    ↑ヨーロッパからはチャーター便はほとんど使われていない

イギリスの医療費の価格&実際の事例

イギリスは、「私立病院と公立病院で、医療費の額は、ほぼ同じ」とのことです。(*4 東京海上日動 世界の医療と安全2014年より)

盲腸(虫垂炎)手術費用は総額約120万円

盲腸手術の費用データ(ロンドン)

・44万円(手術代のみ。公立/私立で同じ額。2013年*4)
・53万円(手術代のみ。公立/私立で同じ額。2009年*5)
・151万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。2008年*6)
・95〜135万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。2008年*2)
・45万円(病室代/看護費用/技術料など総費用。2004年*3)

のむてつ所長のむてつ所長

ちなみに日本の医療費は↓こんな感じ。
●盲腸手術:総額約60万円
●個室入院:一日3〜10万円
●ICU入院:一日8〜10万円
(出典2008年*2)

入院時の部屋代は個室1日9万円

病院の部屋代(1日あたり)
・セミ個室9万円(ロンドン、2013年*4)
・セミ個室10万円(ロンドン、2009年*5)

 ※薬代、X線代、検査費は含まず

集中治療室(ICU/CCU)は、最高1日54万円

集中治療室(ICU/CCU)の費用データ(1日の価格)
・19万円(ロンドン、公立/私立で同じ額。2013年*4)
・41〜54万円(ロンドン、2008年*2)

重大な事故に遭ったときなどは、↑この額、約30万円が、毎日かかることになります。

その他の治療費用のデータと事例(300万円以下)

軽い治療に対しても、高額な医療費が必要です。少し医者に診てもらうだけで、数万円かかると覚えておきましょう。

外来初診料(ロンドン、2013年*4) 3万円
外来初診料(ロンドン、2008年*2) 2〜3万円
初診料150ポンド(日本クラブ北診療所、2015年3月、下の体験談より) 3万円
救急車の料金(ロンドン、2008年*2) 無料(公営)
入院保証金(ロンドン、2013年*4) 基本的に不要
アキレス腱断裂の手術費用(ロンドン、2013年*4) 83万円
(公立私立ともに)
骨折手術費(橈骨末端閉鎖性骨折)(ロンドン、2008年*2) 14〜20万円
風邪の診察と薬(日系病院、2014年9月、下の体験談より) 3.5万円
風邪の診察と治療(日系病院、2007年11月、下の体験談より) 10万円
喉の痛み・寒気(年不明*7) 7万円
風邪の症状と吐き気(年不明*7) 6万円
簡単な診察200ポンド、血液検査250ポンド(プライベートの病院、2010年8月、下の体験談より) 7万円
胃カメラで1300ポンド(日本クラブ北診療所、2015年3月、下の体験談より) 26万円
MRIの最低額(公立病院、2017年10月、下の体験談より) 15万円
CT 2枚(公立病院、2017年10月、下の体験談より) 4万円

↑以上の事例は300万円未満のもの。

イギリスの医療制度と実際の病院体験談

イギリスは医療費が無料です。ですが、実は、落し穴があります。実際、イギリスの人は、よほどのことじゃない限り、医者には行きません。なぜか。イギリス在住者いわく、イギリスの病院は、↓こういう感じだからだそうです。

イギリス在住者のぼやき
●病院の予約がほとんど取れない。取れた頃には治っている
●A&E(救急病院)に行っても2〜3時間待ちは普通。死にかけている人が優先
●イギリスの医療は、死にかけの人やガンの人には手厚いが、それ以外には最悪

で、イギリス在住者が病院に行くのは、↓こういうとき限定なんだそうです。

イギリスの人が病院に行くとき
●抗生物質が必要なとき(処方箋がないと買えないので)
●死にかけているとき
●血が噴き出ているとき
●ガンの疑い
●骨折かも?というとき

↑これくらいじゃないと病院に行かない、とは驚きですよね。

じゃあ、イギリスに住んでいる人たちは、普段、調子が悪くなったときはどうしているのでしょうか。尋ねてみると、一番良い方法はケミスト(ファーマシー)薬局に行って症状を説明して、薬剤師から薬を購入すること、とのこと。

あと、その他の方法として、お金はかかりますが、待ち時間ほとんど無しで診てもらうことのできる「プライベートの病院」があります。海外旅行保険を使って、病院に行くときは、このお金のかかるプライベート病院を紹介されることが、ほとんどです

キャッシュレス診療なら問題ありませんが、立て替え払いが必要な病院の場合、かなりの額を支払う必要があるので、注意が必要です。

イギリスのNHS(国営医療)については、↓こちらのブログの説明がわかりやすく、おすすめです。(2012年1月の記事)

ざっくり説明するとイギリスの医療サービスはNHSと呼ばれていて、基本的に医療費は無料になっています。そのNHSシステムの中にGPと呼ばれている医者さんがいます。これは、日本語で簡単にいうとかかりつけ医みたいな感じでしょうか。まずイギリス人は生まれた時から、自分の地域のGPに登録をします。(外国人も旅行以外で滞在する場合は近所のGPに登録が可能です。)全て無料でかかりつけ医が生まれた時からいるなんて響は良いですが、実際はそんなに美点ばかりではないのです。…(省略)…
ところがイギリスでは、とにもかくにもまずはGPへ行かないといけません。そこで専門医宛ての紹介状を書いてもらって、始めて専門医に診てもらえます。…(省略)…手紙をもらうくらいなら簡単。って思いますか?でも、手紙を出しても専門医から連絡がくるのは、ずーっと後なんですよね。2~3か月で連絡がくるなんて早い方。専門医に診てもらった後の精密検査は更にずっと後・・・・そもそもGPの予約が取れないなんて話も聞きます。…(省略)…
すぐにお医者さんに診てもらいたい場合はプライベートの病院に行くことになります。プライベートの病院は綺麗だし、サービスも良く、なにより迅速に動いてくれます。日本だと外資系の会社が入っているビルのクリニックのようなイメージでしょうか。待合室はゆったりとしていて、紅茶のサービスがあって、診察室は先生の書斎のような感じでゆっくり、丁寧に診てくれますが・・難点はその料金で、一回診てもらって200ポンドなんて普通です。(検査無し)診療を続けるのは、よっぽどのお金持ちでないかぎり破産しちゃいます。
それをカバーしてくれるのが私費の医療保険システムです。いろいろな会社がこの医療保険を扱っていて、私も某医療保険会社のプランに入っています。このおかげで心配なしでプライベートの病院にも行くことができるのです。今回の入院もそうですが、この保険に何回助けられたことか・・・

日系の病院は、やはり高いようです。風邪で約10万円とのこと。。。(2007年11月の記事)

2度目に風邪をひいたときは さっそく日系のとある病院へ行きました。医師も、看護師さんも、受付も All Japan!もちろん診察も日本語で、まったく日本と変わりませんでした。一瞬、私、日本にいるんじゃないって勘違いしそうになるくらい(笑)でした。診察後、受付でお姉さんに言われたこと、「海外旅行傷害保険に加入してらっしゃるので、治療費●●●ポンドは、保険会社に請求します。今日、ここでお支払いいただくものはありません」●●●ポンドを暗算で日本円に換算したら、な、なんと約10万円!

私立病院、さていくらでしょうか・・・昔は医療保険に入っていたので、バンバン利用していましたが、請求書を見ると目玉が飛び出ます。風邪で日系病院(日本人医師と看護師がいる病院。日本式の治療が受けられる)に行ったら、1回の診察(薬込み)で200ポンド(約35000円)です。私立は全て自己負担です。すぐに診て貰えて、ケアも素晴らしい・・・あー、でも高い!!

↓こちらは日系病院のMRIとCTの価格。

(チラっとお医者に聞いたのですが、MRIは最低でも1000ポンド=約15万円だそうです)

ヒジのケガは、軽い感じだったのですが、CTを撮ることになりました。こちらは、たまたま手違いで請求内容を見ることができたのですが、CTを2枚で260ポンド=約4万円でした。

あとここに、初診料(日本クラブだと15分で100何ポンド=約2万円)などが、かかりますからね。キャッシュレスサービス無しなんて、本当に考えるのが怖いです。

↓高額なプライベート診療と、無料のNHSでは、医者も病院も同じで、待合室が違うだけ、という驚きの事実。プライベートだと血液検査と、ちょっとした診察で、450ポンド(約7万円!!)なんだそうです。(2010年8月の記事)

そのときは会社がプライベートの保険に入っていたので、すぐに見てもらえるプライベートを使いましたが、なんと5分もかからない血液検査だけで250ポンド!医者も、プライベートで見てもらうと一回10分くらい話をして、200ポンド、だいたいが医者に見てもらう前に毎回血液検査をしないといけないので、一回合計450ポンド。ほぼ毎月やってました。失業したあとも治療はまだ必要だったので、プライベートをやめてNHSでの診察に変えてもらったけど、医者は同じ。行く病院も同じ。待合室が違うだけ。無料。日本に一時帰国したときに、神戸の甲状腺専門の病院に何回か行きましたが、日本での保険のないわたしは実費。実費でも、血液検査が7000円くらい?診療費が1万いくらだったから、まだイギリスのプライベートより安いよね。それに日本語だし。血液検査の結果も即!10分くらい待てばその場でわかる。イギリスの場合は1週間かかる。

↓こちらは、GPは、あまりあてにならない、という話。腹痛・胸焼けでGPに3回診てもらって治らず、検査結果も3週間以上待たされ、嫌になって、日系の病院へ行って治ったそうです。ここには価格の部分だけ掲載しておきます。本文を読みたい方はリンクからどうぞ。(2015年3月の記事)

イギリスの大きな総合病院の一角にある、日本クラブ北診療所というところで、自宅から地下鉄で25分ぐらいのところに行きました。…(省略)…ちなみに日本クラブの病院は個人の病院なので、初診料で150ポンド(3万円)胃カメラで1300ポンド(26万円)、薬の処方とかその他色々入れるともっと値段がかかると言われ、驚愕でした。

300万円以上の高額支払い事例

治療費用300万円以上の事例(医療搬送を含まないもの)

状況(年度、出典) 入院日数 保険金支払額
病気 腹痛で受診。急性虫垂炎。手術。(2016年*1) 13日 741万円
事故 バスルームで転倒し胸を強打、翌日、顔色が悪くなり受診。血気胸。手術。家族を呼び寄せ(2014年*1) 3日 584万円
病気 熱・咳が続き受診。E型肝炎。手術。家族を呼び寄せ。 (2015年*1) 43日 560万円
病気 胸の痛みで受診。肺気胸。手術。家族を呼び寄せ。(2008年*1) 13日 492万円
病気 右半身が麻痺。脳内出血。(2006年*1) 11日 482万円
病気 留学中に激しい腹痛を訴え受診。卵巣嚢腫茎捻転。手術。 (2015年*1) 4日 451万円
事故 バトントワリング練習中、転倒し救急車で搬送。頚椎骨折。家族を呼び寄せ。(2014年*1) 11日 400万円
事故 イギリスに向かう途中、機内食が喉に詰まり、搭乗中の医師の治療を受ける。家族を呼び寄せ。(2010年*1) 0日 358万円
病気  激しい腹痛を訴え受診。腎臓結石・尿管結石。手術。(2016年*1) 6日 333万円

以上のデータを見て、イギリスで治療費用は最低500万〜600万円は欲しいと、私は思いました。

↓次に、さらに高額となる医療搬送が必要になったときの費用を見てみましょう。

イギリスから日本へ移送費&実際の事例

医療搬送チャーター機イメージ

チャーター機での医療搬送は、1時間につき約80万円かかる*8

↓飛行機での医療搬送は、定期便か、チャーター便かで、かなり価格が変わります。

定期便利用の場合

合計 約200〜250万円
(2013年*4)
・付き添い医師1名、看護師1名
・座席を6~10席確保し、ストレッチャー利用
・定期便のメリットは、安いこと。
・デメリットは断られることもあること(感染症の疑いや、繁忙期など)

チャーター便利用の場合

合計 約2,130万円
・チャーター費用 約1,970万円(2011年*8)
・その他費用 約160万円
(その他費用の内訳)付添い医師1日20~40万円、付添い看護師1日約10万円、医療機材4万円、現地病院〜空港の車移送3~5万円、宿泊費用(遠路の場合)1人1泊1.5万円(以上、2009年*5)、成田空港〜都内病院の車移送 10~25万円(2013年*9)

・チャーター便のメリットは断られないこと。デメリットは高額であること。

ただし、各国の全データから見て「ヨーロッパからの医療搬送で、チャーター便はほとんど使われていない」ことがわかるので、ヨーロッパからの医療搬送は定期便で考えてよいのではないか、と私は思います。

イギリスから日本への医療搬送の事例

状況(年度、出典) 入院日数 保険金支払額
病気 ホテルのロビーで意識を失う。脳梗塞。家族を呼び寄せ。医師・看護師と医療搬送(2006年*1) 25日 1928万円
事故 路上で暴漢に襲われ意識不明に。頭部外傷。手術。家族を呼び寄せ。医師・看護師と医療搬送(2008年*1) 41日 1124万円
事故 ホテルの2段ベッドから転落し、腕を骨折。看護師2名と医療搬送。日本にて手術・入院。1000万円以上かかり、保険金不足に(年不明*7) 不明 1000万円
病気 散歩中に胸の痛みを訴え受診。気胸。手術。家族が駆けつける。医師・看護師と医療搬送(2015年*1) 25日 958万円
病気 胸の痛みで受診。気胸。手術。家族を呼び寄せ。医師・看護師と医療搬送。800万円以上かかり、保険金不足に(2007年*1) 83日 800万円
病気 頭痛と吐き気を訴え受診。くも膜下出血。手術。家族を呼び寄せ。看護師と医療搬送(2006年*1) 17日 686万円
事故 ベッドから降りる際に転倒し、上腕骨・大腿骨頸部骨折。手術。家族を呼び寄せ。看護師と医療搬送(2013年*1) 17日 497万円
病気 気分が悪くなり意識を失う。一過性意識障害。家族を呼び寄せ。医師・看護師と医療搬送(2012年*1) 12日 453万円

医療搬送の費用が約250万円だとすると、それを差し引いた医療費の最高額は、約1680万円。これが現在までのイギリスの医療費の最高額です。

1680万円は多いにしても、保険の「治療費用」の項目では900万円あれば、ひとまず安心と言えると思います。

以上が、医療搬送のデータです。ただし、この医療搬送、利用するかどうかは自分で選べます。「医療搬送は自分には不要」と割り切れば、海外旅行保険の保険料を大幅に節約できます。

医療搬送が必要かどうかの判断=大幅な節約

定期便でさえ約250万もかかる医療搬送。これは必ず必要なものなのでしょうか?

保険代理店に尋ねてみたところ「もちろん医療搬送も、やるかどうかは自分の判断(家族判断)になります」とのこと。では、医療搬送を希望する人というのは、どういう人で、どういう理由で希望するのでしょうか?

医療搬送はシニア層(65歳以上)が多い

ジェイアイ傷害火災が発表しているデータ(出典)によると、こんな事実が判明しています。

  • 300万円超の高額医療事故はシニア層(65歳以上)が約半数である
  • 2014年度 高額医療事故TOP5のうち4件がシニア(9,335万円〜1,888万円)

また、ジェイアイ傷害火災とエイチ・エス損保が公開している合計500件以上の事故事例(*1*7)を一つ一つ調査したところ、↓このような事実もわかってきました。

  • 1000万円超の高額医療事故73件のうち61件(84%)が医療搬送。
  • 医療搬送を病気に限定すると、脳内出血、くも膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞など、シニアに起こりやすい病気が多い。

このように見ていくと、シニア層(65歳以上)であるかどうかによって、医療搬送の可能性は、かなり違うことがわかると思います。65歳未満の場合は、医療搬送の可能性は、かなり低いと言えると思います。

また、逆の面から見ると、医療搬送は本人(家族)の希望で行うものであることから、「シニア層が医療搬送を希望することが多い」とも言えます。

医療搬送では、チャーター便が特に高額なので、「チャーター便は利用しない」と決めるだけでも、必要な補償額は、かなり減ります(=保険料の節約になります)。

医療搬送を希望する人は、どういう理由で希望するのか?

本人(もしくは家族)の希望で行う医療搬送。日本への医療搬送を希望する理由は、どういうものなのでしょうか?調べてみたところ、3つの理由に集約できました。

日本への医療搬送を希望する人の3つの理由
1. コミュニケーションの不安
2. 現地の医療水準が不安
3. 金銭的な不安

↑これら3つの不安をクリアできるなら、保険料の節約のために「医療搬送は不要」と割りきってよいことになりますね。

「医療搬送は不要」と割りきったとき、どうすべきか

では、今度は、重要な、「高額な医療搬送を断るなら、どう対応したらいいか」という問題を考えてみましょう。上記の3つの不安それぞれに対して考えてみます。

1. 「コミュニケーションの不安」への対策

これに関しては、日本の海外旅行保険は通訳費用も負担してくれるので安心です。通訳がいれば、最低限の意思疎通は問題ないでしょう。日本と同レベルの「かゆいところに手が届く」ほどのサービスは望めないかもしれませんが、それは仕方ないと割り切るしかないでしょう。

2. 「現地の医療水準が不安」への対策

ここ最近、日本以外の国の医療水準は、急速に上がってきています。さらに言えば、ほとんどの国に、外国人や富裕層向けの、高額だが医療水準の高い「ビジネス病院」があるものです。海外旅行保険に加入している日本人旅行者は、ほとんど、こういう病院を利用することになります。ですので、現地の医療水準を、国全体や、その地域全体で考えてはいけません。

とは言っても、イギリスは国全体からしても医療水準は高いです。外務省の海外安全ホームページにも、↓このように書かれています。

英国で提供されている医療サービスには国民保健サービスとプライベート医療サービスがあり,どちらも先進国の医療水準を保っていると言えます。

バンコクの医療関係者の方で、医療搬送にも携わり、医療搬送の難しさと高額さをよく知っている方が、ブログ(2013年の記事)中で、↓こう書かれています。

そろそろ海外で罹災した日本人患者は何でもかんでも日本の医療機関だけを妄信するのはやめたほうがいいのでは?と言わせていただきます。韓国、バンコク、シンガポール、マレーシアのビジネス病院のレベルは、日本の総合病院と医療レベルにおいて遜色はなくなっていますし、サービスレベルで行くと日本よりもはや上になっています。…(省略)…従いまして、もし海外で不幸にも病気や怪我をした場合は、現地でも十分対忚できる医療機関があるかもしれないことを考て、そこからどこでどのように治療計画を立てるか柔軟に対忚するのが肝要かと思います。

ですので、イギリスなら、医療搬送ではなく、現地で治療を続けるという選択肢も十分アリだと、私は考えます。

3. 「金銭的な不安」への対策

金銭的な不安というのは、具体的には、例えば、「集中治療室(ICU/CCU)の費用が一日数十万円かかるので支払いが大変。医療搬送の費用を払ってでも、早く保険の利く日本で治療を受けたい」というような場合です。

イギリスの場合も、集中治療室(ICU/CCU)の費用が1日約30万円と高いです。

これに対しては、また先程のバンコクの医療関係者の方のブログが参考になります。

日本以外の多くの国では、医療機関ごとに医療レベルの差、病院費用の差が存在しますので、患者や家族がどのレベルの病院で治療を受けるかという選択をしなければならなくなることがあります。

つまり、簡単に言えば、「病院のレベルを下げれば医療費も下げられる」ということです。高級ホテルのような病院をやめて、地元の人も利用するような普通の病院を利用するだけで、かなりの節約になるはずです。

ですので、保険会社に病院を手配してもらうときには、少し遠くても、医療費が比較的安い地区の病院をお願いする、というのも、一つの方法でしょう。

例えば、医療費の高いスイスでは、ドイツまで治療に行く人もいます。イギリス国内でも、自分が滞在する地区に近いところで、どこの病院が医療費が安いのかを調査しておくことも、自衛手段の一つとして大切です。

節約方法のまとめとしては、2つの選択肢、つまり「医療搬送をお願いして日本で治療」を選ぶか、それとも「医療搬送せずに、現地で病院のレベルを下げて治療続行」を選ぶか、よく考えて選択する、ということですね。

以上、3つの対策でした。

上の3つの対策を読んで、自分もできそうなら、「医療搬送必要なし」と割り切ることができるでしょう。無理そうなら、医療搬送になった場合も計算に入れて「救援者費用」の項目を多めに準備するようにしてください。

まとめ

イギリスへ行くときの海外旅行保険は、

  • 治療費用は、最低500万円。900万円でまず安心です。
  • 救援者費用は、医療搬送不要なら200万円。医療搬送が必要なら450万円に。

救援者費用に関して

医療搬送が不要の場合、救援者費用は200万円でいいでしょう。200万円あれば家族が日本から駆けつける費用分を支払えるからです。200万円という数字なら、年会費無料クレジットカード1枚でカバーできる額です。

ただし、医療搬送を必要と考えた場合は、救援者費用は450万円は必要です。450万円でしたら、保険付帯カード2,3枚でカバーできます。

治療費用に関して

治療費用400万円という数字は、クレジットカード付帯保険でカバーするとなると、カード2枚で足りる額です(治療費用補償など死亡補償以外は、カードを複数持っていると、限度額が上乗せされます)。さすがに、この額だと、ゴールドカードでも1枚ではカバーできないことが多いので、やはり、保険付帯カードが2枚は必要になります。(参考:ゴールドカード比較表)。

3ヶ月以上の滞在の場合は、この治療費用の額を確保しようと思うと、カード付帯保険だけでは少し厳しいです。カード付帯保険で3ヶ月以上をカバーさせたい場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。⇒90日以上の長期海外旅行保険もクレジットカードで[利用付帯裏技]

半年以上の滞在の場合は、有料保険を使うべきです。有料保険の節約方法は、こちらで紹介しています。⇒半年〜1年など長期海外旅行保険の節約方法3つ

参考にさせていただいた文献リスト

保険会社の皆様、貴重なデータの公表、ありがとうございました!
*1 ジェイアイ傷害火災HP 海外での事故例(2002~2016年)
*2 ジェイアイ傷害火災HP 海外の医療事情(2008年のデータ)
*3 ジェイアイ傷害火災HP 海外の医療事情(2004年のデータ)
*4 東京海上日動 世界の医療と安全2014年
*5 東京海上日動 世界の医療と安全2010年
*6 AIU 海外での盲腸手術の総費用2008年(AIU海外留学保険総合案内サイト)
*7 エイチ・エス損保 旅行先でのトラブル事例
*8 チャーター機の料金は、アークEFI航空情報センター 航空機チャーター事業部(参考料金一覧)を参考に「1時間80万円×2(往復)×日本までの飛行時間(google mapより)」で計算。
*9 ④搬送費用 先端医療情報サイト ハロードクター
*10 外務省 在外公館医務官情報 アメリカ合衆国(ニューヨーク) 4.衛生・医療事情一般

以下、参考にしたデータ・情報

現在の為替レート:1ポンド=failed円 (←googleからの自動取得値)

2013年 1ポンド140〜160円
2009年9月7日 1ポンド=約152円
2008年2月 1ポンド=約205〜213円
2004年3月 1ポンド=約198円