判断基準

上海で盲腸手術:約190万円

  • 全体的に、上海は日本の約2~3倍その他都市は日本より少し低いくらいの額の医療費(日本の10割負担額と比較)
  • 重病で日本に移送になったときの費用 約120万円
のむてつ所長のむてつ所長

盲腸手術の価格で考えると、確保しておきたい最低限の「治療費」の補償限度額としては、上海が350万円、その他都市で200万円という感じです(「治療・救援費用」の合算の場合は最低500万円は欲しいです)。

上海の医療費は、アジアの中ではトップクラスに高いので、海外旅行保険は必須です。ただ、治療費用の補償額が400万円くらいまでなら、年会費無料クレジットカードを2枚用意すれば、付帯保険でも十分にカバーできます。上手に節約してみてください。参考:クレジットカード海外旅行保険比較表(80種以上)

重病になり、日本へ移送されるときの費用が約120万円。これは「救援者費用」という項目でカバーされるのですが、120万円という額なら、年会費無料カード1枚で十分カバーできます。

ただし、カード付帯保険は90日間が最大です。それ以上の期間の場合は、別の節約方法が必要です。こちらの記事にまとめています。⇒半年〜1年など長期海外旅行保険の節約方法3つ

以下、参考にしたデータ・情報

現在の為替レート:1人民元=[rate_Exc amount=”1″ from=”CNY” to=”JPY”]円 (←googleからの自動取得値)

↑この現在の為替レートは、下記の昔のデータと比較するときに、ご利用ください。

2013年のデータ

↓出典:東京海上日動 世界の医療と安全2014年より(換算レート不明。おそらく、1元14〜17円くらい)

上海の医療費
病院の部屋代
(1日あたり)(薬代、X線代、検査費は含まれない)
公立病院
(医師費用を除く)
個室 約2万~2.6万円
セミ個室 情報なし
一般病棟 情報なし
I.C.U/C.C.U 約13万円
私立病院
(医師費用を除く)
個室 約6.5万~9万円
セミ個室 情報なし
一般病棟 情報なし
I.C.U/C.C.U 約28.5万円
入院保証金 公立病院 必要(金額は病気・ケガの種類による)
私立病院 必要(金額は病気・ケガの種類による)
手術費   虫垂炎 アキレス腱断裂
公立病院 約65万円~約104万円 約26万円
私立病院 約186万円 約130万円
入院期間(平均) 3日~5日 10日
外来初診料 胃腸炎
公立病院 約8千~1.3万円
私立病院 約12万~20万円
当地から日本への移送費 約114万円
(ストレッチャー使用、定期便利用、 付き添い医師1名、看護師1名)※別途、付き添い医療班の航空券費用、陸上移動費用、ホテル宿泊費、雑費が加算。また、飛行機のストレッチャーシートは航空会社によって価格が変わる。
備考 ●移送費は利用する航空会社および、時期により異なる。

2009年のデータ

↓出典:東京海上日動 世界の医療と安全2010年より(換算レートは2009年9月7日。1元=約13.6円)

上海の医療費
病院の部屋代
(1日あたり)(薬代、X線代、検査費は含まれない)
公立病院
(医師費用を除く)
個室 約1.6万円
セミ個室 情報なし
一般病棟 情報なし
I.C.U/C.C.U 約6.8万円
私立病院
(医師費用を除く)
個室 約9.4万円
セミ個室 情報なし
一般病棟 情報なし
I.C.U/C.C.U 約30万円
入院保証金 公立病院 必要(金額は病気、ケガの種類による。例:虫垂炎 約14万円、アキレス腱断裂 約21万円)
私立病院 必要(金額は病気、ケガの種類による)
手術費   虫垂炎 アキレス腱断裂
公立病院 約27万円 約27万円
私立病院 約150万円 約137万円
入院期間(平均) 2週間 10日
外来初診料 胃腸炎
公立病院 約100~2,700円
私立病院 約1万~1.4万円
当地から日本への移送費 約126万円
(ストレッチャー使用、定期便利用、 付き添い医師1名、看護師1名)※別途、付き添い医療班の航空券費用、陸上移動費用、ホテル宿泊費、雑費が加算。また、飛行機のストレッチャーシートは航空会社によって価格が変わる
備考 ●移送費は利用する航空会社および、時期 により異なる。

2008年のデータ

↓出典:盲腸手術の総費用AIU調べ(2008年)

都市名 費用 入院日数
サンフランシスコ 250万 入院2泊3日
ニューヨーク 150万 入院2泊3日
バンクーバー 216万 入院2泊3日
ジュネーブ 297万 入院3泊4日
ロンドン 151万 入院2泊3日
パリ 113万 入院2泊3日
ローマ 110万 入院2泊3日
マドリッド 97万 入院3泊4日
香港 90万 入院2泊3日
上海 68万 入院2泊3日
ソウル 63万 入院2泊3日
バンコク 40万 入院2泊3日
北京 20万 入院2泊3日
シドニー 86万 入院2泊3日
クライストチャーチ 86万 入院2泊3日
ホノルル 195万 入院2泊3日
グアム 86万 入院2泊3日

↑総費用は、外国人が私立病院の個室を利用し手術も複雑でない場合を想定。手術費の他、病室代、看護費用、技術料などを含む。 また総費用は手術費の他、看護費用、技術料などおよび平均入院日数の病室代などを含む。腹膜炎を併発していた場合、手術料はさらに高くなる。

↓出典:ジェイアイ傷害火災HP(2008年2月。1元=約15円)

上海の医療費
  内容 日本(参考)
救急車の料金 ②公営:4,500円
③民営:通常利用しない
②無料
③通常利用しない
初診料 約1万円 2,700円
病院部屋代
(1日当たり)
②相部屋:約8千円
③個室:約3万円
③ICU:約15万円
②1.7万円
③2万~5万円
③8.8万円
盲腸手術の治療費 ②総費用:11.3万円
③平均入院日数:7日
②40万円
③4~7日間
骨折時の治療費
(橈骨末端閉鎖性骨折)
3.8万円 1.5万円円
ファミリードクター制度 あり
*緊急時を除き、(歯科等一部を除き)全科診察可能な医師の診察を受け、その後必要に応じ専門医へ紹介
なし
*初診から専門医の受診が可能(ただし、総合病院等で紹介状が必要な場合あり)
乳児死亡率(1千人当たり) 17人 2.4人

↑乳児死亡率のみ2011年のデータ。

↓出典:ジェイアイ傷害火災HP(2008年2月。1元=約15円)

北京の医療費
  内容 日本(参考)
救急車の料金 ②公営:基本料金6千円+走行加算100円/km
③民営:
②無料
③通常利用しない
初診料 約3千~5千円 2,700円
病院部屋代
(1日当たり)
②相部屋:通常利用しない
③個室:約5千~1.5万円
③ICU:6千円~
②1.7万円
③2万~5万円
③8.8万円
盲腸手術の治療費 ②総費用:4.5万~9万円
③平均入院日数:7日
②40万円
③4~7日間
骨折時の治療費
(橈骨末端閉鎖性骨折)
1.5万円 1.5万円
ファミリードクター制度 あり
*緊急時を除き、(歯科等一部を除き)全科診察可能な医師の診察を受け、その後必要に応じ専門医へ紹介
なし
*初診から専門医の受診が可能(ただし、総合病院等で紹介状が必要な場合あり)
乳児死亡率(1千人当たり) 17人 2.4人

↑乳児死亡率のみ2011年のデータ。

2004年のデータ

↓出典:ジェイアイ傷害火災HP(換算レートは2004年3月。1人民元=約12円〜14円)

都市名 救急車の料金 入院
保証金
病院部屋代
(日額)
盲腸手術の
総費用
(入院日数)
中国
香港 無料(公営) 約29万円 4万円(個室)
9千円(一般)
医療機関によって
大きく異なる
(4〜5日)
北京 150+1km毎40円(公営)
1時間毎約2万円(民営)
不要 6千円(個室) 10万円
(2〜3日)
上海 840円(3km以内)+75円/km 7.5万円 8千円〜(個室) 30万円〜
(5日)
西安 1km毎15円(公営) 医療機関
によって異なる
2千円(個室) 5.3万円
(−)

その他の情報

2011年05月07日のニュースで、『中国のモラルなき業界ワースト10』という記事があり、医療業界も見事3位に入っていました(苦笑)。(中国語の元記事は2009年9月のもの)

これがその【中国のモラルなき業界ワースト10】です。

第1位:教育業界
第2位:民間石炭採掘業
第3位:医療業界
第4位:製薬業界
第5位:食品業界
第6位:芸能界
第7位:不動産業界
第8位:株・投資業界
第9位:健康食品業界
第10位:タバコ業界

(記事本文から抜粋)
中国の医療業界のレベルはピンキリである。患者の立場が弱いのをいいことに、悪徳病院は誰にもはばかることなく、医療の名を借り、堂々と詐欺を働いている。中国東北地方でもベスト3に入る有名病院に入院した人によると、入院したときに同室の患者に「支払いの際は必ず明細書を確認した方がいいですよ」というアドバイスを受けたそうだ。「有名病院でまさかそんなことが」と思っていたそうだが、念のため確認したところ、どの項目にも訳のわからない費用が加算されていた。彼はひとつひとつの項目につき病院側と争い、最後には事が大きくなることを恐れた病院側が折れ、請求額の半分を返金してきたという。良心的な病院もあるにはあるが、まだ大都市にしかなく、また圧倒的に数が少ない。地域密着型の良心的な病院の設立が待たれる。

ガッカリですが、これが現状です。まあ、と言っても、大都市にある日本人向けのクリニックなどは、比較的真面目にやっていると思うんですけどね。上海や北京など、日本人の多く住む地域では、外国人専用窓口を持った病院も多くあります。

日本人医師がいたり、通訳が常駐していたり、安心は安心なのですが、そのぶん、料金も高めです。「日本人は海外旅行保険で支払うから」という前提で設備を豪華にしたりして、集客しているところもあるので、そういう病院は当然、医療費も高くなります。(海外では医療がビジネスになっていることが多いのです)

ですので、病気になったときは、そういう病院に行きたい人は、必ず海外旅行保険に入っておくべきです。でないと、料金を見てビックリすることになります。

海外の医療費高いイメージ


参考までに、私が中国(上海)の病院へ行ったときの領収書を掲載しておきます。(ちなみに、海外旅行保険を利用する場合で、領収書を受取ることは結構少ないです)

2008年7月に、背中に腫れ物ができたときに行った病院の領収書です。外国人専用病院で、診てくれたのは日本人の先生。診察は20分もかからないくらいで、「そんなに気にしなくて、大丈夫ですよ〜」と、薬を出してくれて終わりでした。そんな軽い診察で、4万2000円という請求額です。気軽に持ち金だけで行ける額ではないですよね。。。

中国(上海)医療費の領収書

“Consultation”が診察料で約1万2000円。”Procedure”が医療処置料で約2万5000円。日本人医師だったので、通訳費用に当たる費用も含めての、この額なんでしょう。

↓これがもらった処方箋。

中国(上海)の病院の処方箋

薬代の32.8ドル(≒3720円)というのも、もらったのが15粒ですから、結構いい値段です(苦笑)。ちなみに、このケフラール250mgという薬を、帰国後、日本のインターネットで価格を調べてみました。1粒60円前後。15粒なら900円です。(価格を調べるのが、我ながら、やらしいですね。笑)

海外で日本語の治療が受けられるのですから、いろいろと諸経費がかかるのはまあ、しかたない。結局は、この金額を受け入れるしか我々には方法がありません。

私が言いたいのは、「この病院は、海外駐在員が利用する、ごく普通の病院だ」ということで、この価格はボッタクリ病院のものではなく普通の病院のものである、ということです。

われわれ日本人は、日本にいるときは、基本的に、国民健康保険などの利用で3割負担など、医療費を全額支払うことは、ほとんでありません。

ですので、こうしてあらためて、医療費の全額を見ると、非常に高額であることがわかると思います。ぜひ上記の現地医療費の金額を見てから、海外旅行保険の補償額を決めるようにしてください。